時事ネタの切り口

日々、感じたことを書いていくブログ

消防団に関するニュースに感じること

こんな感じのニュースは定期的に話題になる

headlines.yahoo.co.jp

私は数年前に十年くらい田舎の消防団に所属した経験がある。 結論から言うと、「構成メンバーによって状況は異なるが、幽霊部員や会計に関してはもっと明確にしたほうがいい」と感じている。

消防団とは

まず、消防団とはどういった団体かというと総務省のサイトから引用すると下のとおりです。

消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なり、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動・救助活動を行う、非常勤特別職の地方公務員です。

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(出典)http://www.fdma.go.jp/syobodan/about/index.html

私が所属した分団

私の所属した分団はこんな感じでした。

  • 人数は15人くらい
  • 年齢は20代後半~40代半ばくらいまで

私が消防団で行った活動

火災

皆さんがイメージする消防団の活動です。 出動は深夜が多かった。深夜に出動すれば大体明け方までは拘束。 出火報が来れば、消防車を置いている詰所に駆け付け、3~4人くらい集まれば出動。 消火栓や防火水槽から水をポンプに送り放水し、消火活動を行う。 (年に1~3回程度出動)

台風

台風に注意する旨を消防車で巡回しながら広報する。独居の高齢者を訪問。必要なら土嚢を運んだりもする。 台風が近づいてくれば、巡回時に道をふさいでいる木の枝などの障害物を撤去。 台風が一番ひどいときは詰所で待機。 台風が弱まればまた巡回し、障害物を撤去(たまに木が倒れてたりする) 警報が解除になれば解散。台風の速度、規模にもよるが、集合から解散まで丸1日くらいかかる。 (年に1~4回程度出動)

行方不明者捜索

実はこれが一番大変だったりする。 行方不明者は高齢者か痴呆や精神疾患、知的障害を持っているひとが多い。 雲をつかむような捜索が見つかるまで続く。 1件につき、3日~4日捜索。 当然、真夏でも真冬でも雨でも山の中でも捜索。時間は9時から18時くらいまで。 (年に1回程度出動)

定例

消防車やポンプがちゃんと動くか点検する。21時~24時くらいまで。消防車で巡回することもある(当然、飲酒運転厳禁) ここで飲んだりするひともいる。顔だけ出してすぐ帰るひともいる。 (月に2回程度)

出初め式

私はこれが一番嫌いだった。 朝、7時に体育館に集合させられ設営。 設営終了後に予行演習(来賓対策でやってた)、本番。そして撤収作業。 大体終わるのは昼過ぎ。 最近はかなり簡素化されたらしい。

年末警戒

消防車で広報しながら巡回(火のよーじんってやつです) 2日間19時~3時くらいまで。 詰所で鍋などをしていた。 当然、飲酒運転厳禁。

操法大会

ここでは書けないくらい大変

その他

パレードや防災フェス、訓練、消火栓・防火水槽の点検など

幽霊部員

確かにいた。 途中で来なくなる奴がいるが、入団希望者はほぼいない。 これは悪しき慣習だが「また来るかも」という淡い期待をもって次の入団希望者が来るまで名前を残しておくケースが多かった。 後のお金の部分でも触れるが、よく指摘されているように公金の運用方法として非常にまずい。

私のいた分団では出席を記録していて1年に一回市町村に報告していた。 そのため、市町村は幽霊部員を把握していたが特に何もいわれなかった(これも問題)

また、「辞めたら村八分にされる」だが、既定の分団員数が決められているのに幽霊部員がいると、今いる分団員は非常にきつくなる。 出動時に「人数が少ない」など他分団や市町村の危機管理課担当者からいわれる。 しかし、「村八分」は言い過ぎである。 私の所属していた分団はまじめな人が多かったため、幽霊部員になるような奴は単純にいい加減な奴が多かったが、消防団消防団である。 田舎だったため、自治会や子供会で会ってもみんな普通に対応していた。

お金

一番問題になっているのはこの点だと思う。

まず、消防団にはどれくらいお金が入ってくるか総務省の情報から試算してみよう。 この図に従えば私が所属していた分団は15人だったので、団長(82,500円)+団員(36,500円)×14人で約60万円ということになる。 これプラス出動手当だ。 (ちなみに私の所属していた市町村の消防団は出動手当が安く、トータルで70万円くらいだった。報酬は市町村によってことなるらしい)

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(出典)http://www.fdma.go.jp/syobodan/welcome/pay/index.html

さて、私が所属していた消防団はどんな感じでこの70万円を使っていたかというと、40万円くらいは飲食代金だった。 残りの30万円を備品(消防車の燃料費やカッパ、軍手など。詰所の電気ガス水道は市町村持ちだったが、それ以外は基本分団負担だった)の購入や新入団員が入団したときの歓迎会や、旅行の費用に充てていた(半額以上自己負担している) こう書くと、「おまえ公金でなにしてんだよ」といわれるかもしれないが、はっきり言ってまじめに消防団の活動をやってるとこれでも大損だと私は思っていた。

なぜかというと、70万円を15人で頭割りすると一人4万6千円(上でも書いたように実際は備品などでこの金額が個人に入るわけではない)くらいである。 例えば、標準的な出動回数でいうと、1年で人探しが1件、台風が3件、火事が1件くらいだ。

この例でいうと一年間でこんな感じの活動になる。

人探し(3日)+台風(1日×3)+火事(深夜~明け方)+定例での点検(毎月)+年末警戒(夕方~深夜×2)+出初式(半日)+イベント+分団長ならば分団長会なども出席

当然、人探しや台風、火事は平日の場合もある。 有給で仕事を休んで消防団の活動をするひともいるくらいだ。 放火が多かったときは巡回しろといわれたときもあった。

いくらボランティアであるからといって、これだけのことを年間4万6千円でやってくれということに無理がある。 私のいた分団は不文律として「新入団員をいれて在籍20年以下で引退する」というルールがあった。 まじめな人ほど、必死に新入団員を探して15年程度で辞める。 なぜ辞めたいかというとボランティアだからといって、まじめに消防団の活動をするとしんどいからである。 例外もあるかもしれないが、私のいた分団で長く在籍しているひとはいい加減な人が多かった。 いい加減な奴は人探しなど負荷の高い出動に来ないため、まじめなひとの負担が増える。だから早く辞めたいという構図である。 いい加減な奴は長く在籍しているからベテランで雑用はしなくなる。居心地がよくなってやめないから負のループに入る。

お金の管理だが、私がいた分団は70万円すべて分団の口座に入金されていた。

お金に関しては出動手当がちゃんとでる市町村は、出動手当は個人口座に入金するべきである。 分団の運営費と個人の出動手当を分けないと、出動しない分団員が得になるからである。

個人の口座に入ったお金を個人がどう使うかは自由である。 別に風俗にいってもキャバクラにいってもいい。 ただし、それを消防団のイベント中におこなうのは問題がある。

私は会計を経験したが、過去に個人で使いこんだり書類や現金を紛失していたりといろいろ管理がずさんな時代があった。 なにより、私自身が会計になるまで会計情報が一切公開されず、会計の引き継ぎのみしか情報が受け渡しされていなかった。 支出も収入も会計になるまでまったくわからなかった。 私が会計になって最初におこなったのは会計情報の公開である。 これをやらないとコスト意識が発生しないからである。

会計については市町村が数年に一回チェックするべきだと思う。 しかし、田舎は社会が狭いので、こういう非難されそうな面倒くさいことを市町村の職員も議員もいわなかったりするところも問題だと思う。

また、消防団には退職金制度がある。 これは当然個人に支払われていた。 これも幽霊部員に支払うのは問題である。

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(出典)http://www.fdma.go.jp/syobodan/welcome/pay/index.html

飲み会

主に定例の点検後、年末警戒、出初め式終了後である。 私がいた消防団は酒を飲む人がすくなかったこともあり、嫌な思いをしたことはない。 田舎過ぎて移動が車のため、飲酒できないというのもあるのかもしれない。

ただし、新人は片付けや掃除といった雑用をしなければいけなかったので、飲酒以外の理由で飲み会の印象が悪いひとは雑用が嫌だったのではないかと思う。

消防団=ある程度時間が自由になる人」ということで自営業者や公務員(公務員は出動で休める場合がある)が多い。 非常に申し訳ないがこれまでの私の社会経験において、自営業者(特に農家)と公務員は非常識なひとがいる割合が比較的高いということも消防団が嫌になるということと関係していると感じる。

どうすれば改善できるか

消防団の入団希望者が少ないということがネックになっている。 もっと組織改善をして、ある程度ルールに則って運営すればもっとましになって入団希望者も増えると思う。

任期を決める

最大20年くらいにすればいいと思う。 なり手がいないといっても任期があれば何とかしようともっといろいろ手を打つはずである。 飲み会やコンパニオンが好きなのは大体年寄りである。 平均年齢が若くなれば偉そうにもされなくなり、若手も入ってきやすくなる。

会計を透明化する

透明化すれば消防団側もちゃんとした目的に使うようになるだろう

消防団を減らす

火災自体はオール電化の影響もあってか年々減っている。 台風や人探しは必要なときは元消防団員を出動手当付きのボランティアとしてその都度出動してもらうようにすればいい。 私の実感だが、私が所属していた消防団の市町村ならば2/3くらいにしても多分大丈夫ではないだろうか。 これは人命に伴う消火活動に直結するので減らすことについて批判が出ると思うが、これからは人口が減るので考えないといけない問題である。

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(出典:消防白書)http://www.fdma.go.jp/html/hakusho/h29/h29/html/1-1a-0.html

勝谷誠彦さんが亡くなったニュースから感じたこと

勝谷誠彦さんが2018年11月28日に57歳で亡くなった。

有名進学校灘高校早稲田大学文学部を経て文藝春秋に入社。その後、フリーになりコラムニスト、コメンテーターとして有名な方だった。

勝谷誠彦 - Wikipedia

 

昔、よく見ていた「たかじんのそこまで言って委員会」に出演していたこともあり、突然の訃報に驚いた。

 

私が勝谷さんのTV出演やコラムをみて下記のような印象を抱いていた。

  • アイディアマン
  • アジテータ
  • 文章は抜群にうまい
  • ヒステリック

 

アイディアマン

勝谷さんは有料配信メールをかなり早い段階(2007年)から始めていた。

katsuyamasahiko.jp

メルマガはかなり昔からあったが、有料配信がビジネスとして流行したのは堀江貴文ホリエモン)が始めた2010年からである。

ameblo.jp

勝谷さんのメルマガは自前で決済サービスも実装していてかなり力が入っている。

(通常、メルマガは「まぐまぐ」などの配信元に30%~50%程度手数料を取られるが、自前で決済サービスを準備すると手数料はクレジットカードの決済手数料の2%~5%程度)

 

また、番組で共演した話題の人と、あっという間に対談本をだしたりしてました。

 本の題名も当時流行ってたマイケル・サンデルをパクッてますw

 そして当時問題になっていた田母神さんともこんな本を。

 

うどんブームがくると「麺通団」といううどん屋を経営しました。

www.mentsu-dan.com

フィリピンに取材で行ったときには、現地の人間とタクシー会社をいっしょにやってたこともあるらしいです。(8:10あたり)

www.youtube.com

コラムニストをしながらこれだけいろいろなことをし、成功しているのは凄い。

 

 

アジテータ

これは彼の出演するTVやコラムをみればわかりますが、たとえば「築地をどり」や「利権談合共産主義」という言葉で煽ったり。

勝谷さん自身は自分のことを「愉快犯」といってます。(3:30あたり)

www.youtube.com

 

文章は抜群にうまい

私はそれほど多くのコラムを見たわけではありませんが、こちらの記事にもありますが特に食べ物に関するコラムは抜群にうまかったと思います。

https://hbol.jp/180441

 

 

ヒステリック

これはちょっと気に入らないことがあるとかなり口汚く罵ることもありました。

そこまで言って委員会」の田嶋陽子さんはその犠牲者の代表でしょうw

 

 

 

さて、勝谷さんが亡くなっていろいろな人が追悼のメッセージをだしました。

 

文藝春秋で一緒に働いていた柳澤健さん

bunshun.jp

 大学の同級生で作家の小川洋子さん

www.kobe-np.co.jp

勝谷さんがコラムを連載していた月刊誌『Meets Regional』の竹村編集長

www.lmaga.jp

参院議員の有田芳生さん

headlines.yahoo.co.jp

戦友、戦場カメラマン宮嶋茂樹さん

headlines.yahoo.co.jp元上司の花田紀凱さん

headlines.yahoo.co.jp

ヨロンさんこと、勝谷さんのメルマガ配信や選挙を支えた世論社の高橋茂さん

勝谷誠彦入退院顛末記……からのブログ再開 - 翁の嗜み(おきなのたしなみ)

jbpress.ismedia.jp

jbpress.ismedia.jp

jbpress.ismedia.jp

nikkan-spa.jp

勝谷さんと仲の良かった作家の花房観音さん

katsuyamasahiko.jp

katsuyamasahiko.jpまた、生前の勝谷さんの本音を引き出している素晴らしい記事もあります。

hanabusa-kannon.com

いろいろな記事を読んで感じたのは、

  • 無頼派のようで非常にまじめ
  • 粗野な言動でアジテーター、愉快犯を楽しむが、中身は美しい文学にあこがれる繊細さがあった
  • 素晴らしい文才を持ち仕事も早いが、文学に対するあこがれが大きすぎて自分が一番好きな小説を書くことに抵抗があった

勝谷さんは愉快犯的なことを楽しむある種の不真面目な面と、愛国精神や地元愛、ジャーナリズムといったまじめな面の間で、そういう自分自身に苦しんでいたのではないだろうか。

 

いいことをいっても、「あいつはいつも不真面目だから」と評価されないことで、「おれは才能があるのに評価しない周りは馬鹿だ」と孤独だったのかなと感じます。

 

また、ヒステリックな部分があり、せっかく地元愛から神戸県知事に出馬したのに、落選後に現職知事陣営に対して「保守がいかにクソだが分かりました。今回、大学へ行くよりも、どんな場所よりもいい(人生)勉強になりました。保守! 死ね!」といったりしてあまりに小心過ぎる。

www.nikkansports.com

小説が評価されず、選挙に落選してどんどん酒におぼれていったのは、気が小さく周りを許容できない勝谷さんの性格なのかなとも思います。

 

あれだけのアイディアがあり、文章が書けて仕事も早ければ、引く手あまただったはずなのにもったいない。